2017年4月26日水曜日

南田真吾・山崎由紀子「グラビア」

こんにちは、スタッフの二宮です。

南田真吾・山崎由紀子「グラビア」、始まっています。





南田真吾さんと山崎由紀子さんは、
同じ京都造形芸術大学 情報デザイン科の出身であり、
現在も、アートとイラストレーションの間を行き来しながら
制作活動を続けています。

同じ時期に学校に通ったことはなく、知り合ったのも、ここ数年のことですが、
お互いに絵のスタイルに共通するものを感じており、
南田さんが山崎さんに声をかけたことから、
今展「グラビア」を開催する運びとなりました。









ふたりは、自分で採集した絵や写真や印刷物をもとに、
それらを画面上で構成させ、絵を描くスタイルをとっています。
素材の選び方、画面の切り取り方、構成の仕方はそれぞれに特徴があるものの、
出来上がってくる作品は、どこか共通する空気をまとっており、
同じ場所でスペースを区切らず、ランダムに作品を展示しているため、
一見するとどちらがどちらの作品かわかりません。

また、今回、お互いに写真を用意し、
同じ写真をもとに、それぞれで絵を描くという、という試みをしています。
元になる写真とそれぞれの作品が飾られてあり、
違いや共通点を楽しむことができます。







山崎さんは、以前は本や雑誌などから写真を選ぶこともあったそうですが、
今はほとんどがネット上で見つけたものだそうで、
そのためか、独特の目線があり、既視感や古さがありません。
今、彼女が目にしたもの、関心を持ったものが彼女の中に取り込まれ、
絵としてアウトプットされていきます。

南田さんは、2年前、タンバリンギャラリーの「初個展・企画」という企画で
入選し、『CUTSCAPE』という個展を開きました。
(そのときの様子はこちらのブログをご覧下さい。)
その頃とまた随分と作風も違いますし、絵へのアプローチの仕方も異なります。

そのときどきの関心のあることを、
ダイレクトに彼らなりの表現で生み出していくことは、
アートでありイラストレーションであり、それをどちらか決めつけることは、
ナンセンスなことのように思います。
これからもその狭間を行き来し、彼らなりの表現で
世の中にアウトプットして行くことをずっと続けていってほしいと思います。





4/29(土)には18時よりレセプションパーティが開かれ、
作家ふたりとも揃いますので、この機会にぜひ足をお運びください。

南田さんは土日終日、山崎さんは土日終日と平日は来れるタイミングで
在廊の予定となっております。

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2017/04/25(火)~04/30(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

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NEXT EXHIBITION>>
2017/05/02(火)~05/07(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

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2017年4月19日水曜日

新谷和子 水彩画展「謝」

こんにちは、スタッフの二宮です。

新谷和子 水彩画展「謝」、始まっています。





新谷和子さんとタンバリンギャラリーの出会いは、
タンバリンの創設者、永井宏から始まります。
大阪、枚方市にある『星ヶ丘洋裁学校
住宅地の中に突如現れる、山の中の学校のように、
のびのびと育つ草木、四季折々の植物に囲まれたその学校の庭には、
永井が名付け親となった『SEWING TABLE COFFEE』という小さなカフェや、
教室の一室をギャラリーとした『SEWING GALLERY』があります。
新谷さんは、40年程前から星ヶ丘に住み、
洋裁学校が始まるころから街の移り変わりを見ており、
ここで永井と出会います。







関西水彩画会や、水彩連盟に所属し、
ずっと絵を描き続けていた新谷さん。
2年ほど前に、100歳を目前にしてとつぜん亡くなられたお父様への気持ちをのせて、
50号や100号の作品を含む、計10数点を、今展では展示しています。

「晩年は、毎日のようにお手紙を書くように、FAXを交換し合っていたのだけど、
 大げんかして、FAXのやりとりもしなくなっちゃったの。
 それからまた少~しずつ会話を交わすようになっていたところで
 とつぜん逝っちゃった。
 だからずっとそのことが気になっていて。」




お父様が亡くなって一番最初に描き始めたのが、100号の「還」という作品。
うさぎとなったお父様が、すすき野原の中を歩いて行きます。
道の向こうには天の川があるのだそう。

「遺品を整理しながらね、父が好きだったものや家族の写真が出て来て、
 特に意識した訳ではないけれど、次第にそういうのを描いていました。」

「最初は父への思いでいっぱいだったけれど、次第にこれは絵としてどうか、
 というのを見るようになってきて、
 客観的な目線で自分の絵を見ることができたらから、とてもよかった。」

と新谷さん。

人生の熟年期を迎えている新谷さんは、
まるで 少女のように軽やかです。

「朝起きて電車に乗るじゃない?西へ行っても東へ行っても、どこへ行ってもいいの。
 何時に帰って来てもいいし、帰ってこなくてもいい。そんなのって考えるだけで楽しいじゃない?」

「わたしねニュートンが好きなの。
 小さい子が指しゃぶりしていると恍惚となるじゃない?
 ニュートンを読んでるとそういう気分になるの。」

初日にいらしたご友人との会話の中で、こんな話が聞こえきて、
わたしはとても楽しくなりました。






父の絵のなかで、父の話がしたい。

そんな思いの中で開催している今展覧会、
わたしは新谷さんのお父様は存じ上げませんが、
絵を見ながらいろいろと、自分の家族や親戚、昔のことやごく最近のこと、
いろんなことを思い出しました。

そんな風にして、その人の中で、ずっと人は生き続けるのだと思います。




新谷さんは、毎日在廊の予定です。
静謐な絵のなかで、朗らかな新谷さんと会話を交わしていると
とてもあたたかい気持ちになります。
もうずいぶん春めいて、外を歩くのも気持ちのよい季節になりました。
ぜひ、お散歩がてらいらしてください。

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2017/04/18(火)~04/23(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)
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2017/04/25(火)~04/30(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

✳︎パーティー 4月29日(土)18:00~

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2017年4月12日水曜日

JUCO.のクツ展  '17-'18 Autumn&Winter collection

こんにちは、スタッフの二宮です。

JUCO.のクツ展  '17-'18 Autumn&Winter collection、始まっています。




「履くと特別な気持ちになる靴」をテーマに活動している
シューズブランド『JUCO.』の2017〜2018 秋冬のコレクションです。
タンバリンギャラリーでは、昨年の4月に続き、2回目の展示会となります。










透明な夜、

大きな森と出会った。

凍えるホホに、とけるスープ。

湯気を感じる、幸せな営み。

サイトより)

今回のコレクションは、デザイナーのJUCOさんが3年ほど前に訪れた北欧での記憶と、
自然により近づいた中で始まった現在の暮らしの中から
インスピレーションを受け、たくさんの自然に囲まれて暮らす
「寒い国の住人」が似合いそうな靴をイメージして作られました。

半年に一度、直接お客さまと触れ合える展示会は、大切な時間であり、
今展は、寒い国の住人が暮らす山小屋のようなイメージで、
空間が作られています。









テキスタイルブランド『spologum』さんや、
写真家「かくたみほ」さんとコラボレーションして制作した靴、
1足1足にタイトルが付けられ、JUCOさんの頭の中にあるイメージが
形となって現れた靴は、JUCO.ならではのデザインであり、
また、職人さんによって1足1足丁寧に作られた靴は、
見れば見るほど、縫い目の美しさ、皮のふくらみやソールのたち上がりなど、
ものとしての美しさを感じます。

デザインはもとより、履き心地を重視している、というように、
足を踏み入れたときの心地よさ、靴によって足が守られているという感覚は、
ぜひ体験していただきたいものです。

この春より、アトリエを浅草へ移す予定のJUCO.
職人さんのほとんどが、その近辺へ密集しているため、
制作過程において、よりいっそうコミュニケーションがしやすいよう、
制作の現場に近づけるよう、その場所を選んだそうです。
その話を伺いながら、ブランド設立11年目のJUCO.は、
物作りの原点に立ち返っている様な印象を受けました。







丁寧に作られたものを身につけているときに感じる
どこか守られているというような安心感、
また、制作者の顔が見えることによって感じる親近感。
靴はひとつのファッションアイテムではあるけれど、
そんな風に特別な思いが行き来するのを、
JUCO.の展示会では感じます。

肝心な靴の写真はここではお見せできないので、
ぜひ、ギャラリーに足を運んで見て触れて履いてみてください。
DMをお持ちでない方でも、どなたでもお越しいただけます。

*最後の写真は、前回の春夏コレクションの際にわたし自身購入した私物でして、
 嬉しくて履いてきました。今展では販売しておりませんので、あしからず。

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2017/04/11(火)~04/16(日)
11:00~19:00(最終日のみ17:00まで)

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2017/04/18(火)~04/23(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

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2017年4月5日水曜日

橋本有佳 個展「旅の向こうへ」

こんにちは、スタッフの二宮です。

橋本有佳 個展「旅の向こうへ」始まっています。





橋本有佳さんは、1987年生まれのフリーのイラストレーター。
旅をすることが人生の中で大切なことだと気づき、
昨年の夏から秋にかけて、
イギリス、アイルランド、ポルトガル、スペインと、
4カ国、25の街を旅したときに出会った風景や人々を、
今展にて「旅の向こうへ」というタイトルで発表しています。












オイルパステルと水彩絵具を使って描かれた作品の隣には、
ひとつひとつ丁寧にそのときのエピソードが綴られています。
絵を見て文章を読み、また絵を見る、ということを繰り返していると、
いつのまにか同じように旅をしているような気持ちになり、
自分の中の旅の経験と重ね合わせるなどして、
心の旅をしている自分に気付きます。

橋本さんは文章の中で

帰国した今、感じることがあります。

旅というのはつまり、自分の居場所をより深く知るための行為なのだということ。
外へ出ることで、内(=自分)に気づくことができる。
ありふれた日常が、よりいっそう愛おしくなる。

という風に書いています。
旅をしたことがある人には、共感できるところが
あるのではないかと思います。











「特に人生観が大きく変わった。」というアイルランドでは、
アーティストインレジデンスといった形で、
家主さんの持っているコテージに2週間滞在し、絵を描きながら過ごしたそうです。
家主さんは、70才近い画家の女性で、300年以上前に立てられたお城の中で暮らし、
自由奔放な絵を描かれているという。
「生きる事すべてが被写体」だとおっしゃっていたその女性は、
写真を撮ることを嫌い、
いま目に見えているものすべてを体の中に取り込んでいるような印象を受けました。

「なので、このときの写真は一枚もないんです。」と言って
橋本さんが見せてくれたスケッチがとても素敵で、
絵だからこそ表せるニュアンスがあり、一枚で多くを物語っているようでした。






絵に対しては、いろいろな描き方を試しながら、
まだ模索している最中だという橋本さん。
それもまた旅と同じように、経験を重ねるごとに自分なりの方法を見つけ
次第に実感としてわかってくる事なのかも知れません。

「いろんな人の旅の話を聞きたいです。」と言う橋本さんは、
毎日在廊している予定ですので、
ぜひ絵の前でいろんな言葉を交わされてみてください。

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2017/04/04(火)~04/09(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

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NEXT EXHIBITION>>
JUCO.のクツ展  '17-'18 Autumn&Winter collection
2017/04/11(火)~04/16(日)
11:00~19:00(最終日18:00まで)

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