2015年1月28日水曜日

永井宏 " ZUECCA REVISITED 2015 " 展 Drawing + words & poetry

こんにちは、スタッフの二宮です。

永井宏 " ZUECCA REVISITED 2015 " 展、第二週始まっています。

後半の第二週目は
「Drawing + words & poetry」
写真表現 photographから描画表現Drawingへの移り変わり、
「words」、「poetry」との融合を軸とし 最終作品までの流れを展示します。
(前半の様子はこちらをご覧ください。)







多数の著書を残した永井さんが、最初に詩の様なものを書いたのは
1992年、トレヴィル社より発行された『海を眺めていた犬』にて。
編集長の提案を受けて、散文詩を書いたのが始まりだそうです。
それから、より詩の形態によりそったもの、
言葉遊びのようなもの、ドローイングに詩を組み合わせたもの、
などが生まれていきます。









たくさんの著書の中で、エッセイでは何度か同じ内容の話が登場し、
詩の中にも、同じニュアンスのものがたびたび出てきます。
それは、写真にドローイングやコラージュを組み合わせたり、実験を繰り返しながら、
自分の世界を表現するのに最適な方法を模索していた時代を経て、
伝えたいこと、残していきたいこと、大切にしてきたことが、
言葉となって、より明確に表れて来たように、一連の流れを見ていて感じました。

これは個人的な記憶ですが、
2011年の震災の数日後、当時、永井さんのワークショップに通っていたメンバー宛てに、
永井さんよりメールが届きました。

「詩を書いたり、何かを考えたりするような気になれずにいる人も多いと思いますが、
 こういうときこそ、自分に何ができて、何をすべきなのかを、文字に表さなくても、
 考えるときだと思います。(〜〜〜)とにかく、みなさん健康が一番ですので、
 なるべく愉快になれることを考えながら、この時期を過ごしてください。」

という内容のものでした。

どのようなときでも、自分と向き合い、問いかけながら、
生き抜くという姿勢がそこにはあり、
そしてそのことに随分と勇気づけられました。







さて、1月24日(土)と25日(日)には、
島尾伸三さん、滑川英達さんによる1970〜80年代の写真作品や写真集制作について、
また永井さんとの毎日の長電話やよく語り合ったことなどが語られたトークショー、
象の音楽によるポエトリー・リーディング&サウンドインスタレーション、
中川五郎さん(ex.20th Century's)によるライブなどが行われ、
賑やかであたたかく、また時代を行き来する、タイムスリップのような時間が流れました。

永井さんの作品管理をはじめ、この展覧会にも大きな力を注いでくれた
廣瀬義智さんの焙煎する珈琲「SWAN COFFEE」のカフェサービスもあり、
ギャラリーは珈琲のいい香りに包まれました。

そして来る1月31日(日)には、
Kitchen sistersや斎藤哲夫さんのライブなど、最後までイベントは目白押しです。




ぜひ、タンバリンギャラリー5年目の、
流れのなかの大きなひとつとして開催されたこの展覧会を
見に来てください。
スタッフ一同、お待ちしております。





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〜 5th Anniversary Special  〜

2015/01/20(火)〜01/25(日) 
11:00~19:00(最終日~18:00)
第一週:Photograph + + + +
写真表現をベースにした創作の変遷、
[ZUECCA] in a gardenを軸とした展示です。

2015/01/27(火)〜02/01(日) 
11:00~19:00(最終日~18:00)
第二週:Drawing + words & poetry
写真表現 photographから描画表現Drawingへの移り変わり、
「words」、「poetry」との融合を軸とし 最終作品までの流れを展示します。

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NEXT EXHIBITION>>
dope展
2015/02/03(火)〜02/09(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)
   *レセプションパーティ 02/07(土)
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2015年1月21日水曜日

永井宏 " ZUECCA REVISITED 2015 " 展 Photograph + + + +

こんにちは、スタッフの二宮です。

永井宏 " ZUECCA REVISITED 2015 " 展、始まっています。



永井宏さんは、1951年生まれの美術作家。
写真、ビデオ、ドローイング、『BRUTUS』の編集、
ポエトリーリーディング、音楽活動、作詞作曲、
リトルプレス WINDCHIME BOOKSを立ち上げ
自身の本や若手作家の本の出版、
著書多数、ひと言では語りきれない、多岐にわたる活動をして来た方です。
2010年には、ここタンバリンギャラリーをスタートさせ、
2011年の4月に、永眠いたしました。

タンバリンギャラリーはこの春、5周年を迎えるにあたり、
あらためて永井さんの創作作品をもう一度訪れる展示、
「ZUECCA REVISITED 2015」を開催する運びとなりました。

今展は、永井さんの高校時代からの友人であり、
タンバリンギャラリーのスタッフでもある濱口雅彦さんの監修のもと、
2週間にわたり、構成されています。

前半の第一週目は
「Photograph + + + +」
写真表現をベースにした創作の変遷、[ZUECCA] in a gardenを軸とした展示です。











展示は1971〜72年、多摩芸術学園写真科在学中の作品からスタートします。
1985年のZUECCAシリーズでは、
紙焼きにした写真を、ビデオカメラで撮影してモニターに拡大し、
その映像をさらにカメラで撮影現像し、紙焼きにしたものに
インクやコラージュで手を加える。という手法で作品を制作。
また、写真にブリキのカットオブジェ、詩をコラージュし、自作のフレームにおさめた作品、
ダンボールや布地にコラージュしたものなど、
写真だけでは、自分の世界を表現しきれない、
また絵に対するコンプレックスもあったことで、
様々な方法を模索し、実験し、自分のイメージを形にしていったのがわかります。




また、植物の紙焼き写真にクレヨンやリキテックスで表面をコーティングし、
自作のペンなどで、表面をスクラッチ(削る)し、イメージを削り出す、
という方法で制作した「ZUECCA」シリーズは130枚近くあり、
誰に見せるでもなく、ただひたすらに実験を繰り返し、イメージを造り出していました。
このシリーズは今展で初公開となります。

永井さんは各地でワークショップを開いており、
「表現するのはだれでもできる」ということを伝え続けていました。
そして、よく「ひとつのテーマで100個の作品を作りなさい。」と言っていました。
それは、ただの数字ではなく、永井さん自身が実践して見つけた方法論であったのだと、
その膨大な量の作品をみて、感じることができました。









濱口さんと展覧会の準備をしていくなかで、
作品と対峙する瞬間、目頭を熱くすることがしばしばありました。

「作品の整理をしていてなにが一番大変かって、
 自分に違うスイッチが入っちゃうところなんだよね。」と。

後に残っていく作品は、見る人によって、記憶に触れるものであり、
新しい表現であったり、考え方の発見であったり、様々で、自由です。















初日には、
珈琲を焙煎し、販売、またコーヒー教室を開いたり、
絵画の制作もしているアーティスト、
中川ワニコーヒーさん(永井さんが名付け親)の煎れるコーヒーで
会場はいい香りに包まれました。

今週末には、
トークショーやポエトリー・リーディング&サウンドインスタレーションのライブ。
カフェサービスに中川五郎さんによる投げ銭ライブなど、
イベントは目白押しです。(詳細はHPをご確認ください。)
どちらも入場無料、予約不要でいつでも見られますので、
あわせてお楽しみください。

そして、展覧会後半の第二週目は
「Drawing + words & poetry」
写真表現 photographから描画表現Drawingへの移り変わり、
「words」、「poetry」との融合を軸とし 最終作品までの流れを展示します。




永井宏さんを知る方も知らない方も、
一人のアーティストの軌跡、また彼が周囲に与えて広がって行ったもの、
そこから派生して行ったもの、など、観て感じていただければと思います。

著書も、閲覧用、販売用と多数取り揃えております、
こちらもあわせてご覧ください。





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〜 5th Anniversary Special  〜

2015/01/20(火)〜01/25(日) 
11:00~19:00(最終日~18:00)
第一週:Photograph + + + +
写真表現をベースにした創作の変遷、
[ZUECCA] in a gardenを軸とした展示です。

2015/01/27(火)〜02/01(日) 
11:00~19:00(最終日~18:00)
第二週:Drawing + words & poetry
写真表現 photographから描画表現Drawingへの移り変わり、
「words」、「poetry」との融合を軸とし 最終作品までの流れを展示します。


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dope展
2015/02/03(火)〜02/09(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)
   *レセプションパーティ 02/07(土)
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2015年1月14日水曜日

OLD YOUNG / コヤマナット、松本茜、森島里香

こんにちは、スタッフの二宮です。

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

タンバリンギャラリー2015年の展示がスタートしました。
第一弾は「OLD YOUNG」展。




「OLD YOUNG」展は、京都造形芸術大学の修士課程で学ぶ
コヤマナットさん、松本茜さん、森島里香さんの3名による展覧会です。
田名網敬一さんのゼミで学ぶ彼らは、アトリエで制作時間を長く共にし、
次第に他の学生とは少し違う独特のグルーヴが生まれ、
また、田名網さんの声かけもあって、3名でこの展覧会を開催する運びとなりました。







会場入って、右側手前のスペース、
コヤマナットさん。

1987年オーストラリア、シドニー生まれ。
オーストラリア人と日本人のハーフである自分自身のアイデンティ、
経験、異文化間のギャップ、世の中の違和感などを、
アニメーションやドローイングで表現しています。

「日本にいても、オーストラリアにいても、演技をしているような感覚があって、
 自分なりの知識や考えがないと混乱してしまう。」

「今は、世界的に、いろんなものが数学的、法律的、データ的に処理されていて、
 フラットで、おそろしいところもあり、
 昔はもっと雑多で、コンピューターでは処理できない、矛盾や違和感に溢れていた。」

「作品はまだまだ混乱しているけれど、自分自身は冷静で、
 潜水艦の中から物事を静かに見ているようなところがある。」

そのように、世の中や自分自身に関するギャップや違和感に興味を持ち、
客観的にみつめながら、制作を続けることで、自分なりの世界との関わり方を
模索しているようにも感じられました。







会場内、奥のスペースが松本茜さん。

1990年生まれ。木炭を使用し、夢に見た世界、顔のない人間、
崩れかけながら息づく女性、などをモチーフにすることが多く、
物語に興味があり、萩原朔太郎や谷崎潤一郎の小説の一部を引用し、
アニメーションの制作もしています。


「この絵は、先日亡くなった自分の祖父なんです。
 農具の発明家であった祖父は、少し変わった人で、
 亡くなる時にも『たぬきになる、いやうさぎになる』というようなことを
 言っていたり。頭の中に電波が入っているみたいに。」

「夢の中にでてきたものを描いています。いつも夢の中で、人間には顔がないのです。」

「生きているものより、死んでいるものに興味があるんです。」

松本さんの描く世界は、生と死が交差していて、夢と現実が混ざり合い、
恐ろしさと美しさに、見ている側の感情が揺さぶられながらも、
次第に引き込まれていくものがありました。






会場内、左側のスペースに森島里香さん。

1991年生まれ。
1960〜80年代の自分が生まれる前の時代の雑誌やメディア、
また新聞の記事などから素材を集め、
切り込み、組み合わせて、コラージュの技法で制作しています。


「作品は本の形態をとっていて、一冊一冊コンセプトがあって、
 それをもとに制作しています。」

「言葉の断片と写真の断片、もともとバラバラなものを再構築して、
 気持ちよくはまるときもあれば、変な違和感が生まれる事もあり、
 でもそれはそれで、新しい発見があって面白いんです。」

古いもの、新しいものを組み合わせ、時には自分で描き込むことによって、
強く興味を惹かれる古い時代のものと、今を生きる自分自身を結びつけ、
自分なりの世界を構築しているようでした。






会期中、会場では、松本さんと森島さんがドローイングとコラージュで
共同制作をしています。
ドローイングとコラージュはある意味対極の表現方法ですが
お互いの世界の混ざり方がとても心地よく現れています。
ふたりにあわせて、コヤマさんのギターが即興で参加することもしばしば。




初日は恩師である田名網敬一さん、また活躍中の作家先輩方などがいらして、
多くの言葉を交わされていました。

17日には、16時よりクロージングパーティがあり、
伊藤桂司さんのDJもゆるく行われるということですので、
お時間ございましたら、交流の場としていただければと思います。

サイトや会場内で配布しているステートメントに、
今展についての考え方がわかりやすく興味深く
書かれていますので、こちらもご一読ください。

3名とも、ほぼ毎日、終日在廊の予定となっております。
2015年の始まり、脳みそを揺すられるような体感をぜひ。




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2015/01/13〜01/18(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)



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NEXT EXHIBITION>>

〜 5th Anniversary Special 〜 永井宏 "  ZUECCA REVISITED 2015 " 展 2015/01/20(火)〜01/25(日)  11:00~19:00(最終日~18:00) 第一週:Photograph + + + + 写真表現をベースにした創作の変遷、
[ZUECCA] in a gardenを軸とした展示です。 2015/01/27(火)〜02/01(日)  11:00~19:00(最終日~18:00) 第二週:Drawing + words & poetry 写真表現 photographから描画表現Drawingへの移り変わり、 「words」、「poetry」との融合を軸とし 最終作品までの流れを展示します。




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